JPモルガンCEO、FRC買収に見いだす商機
米銀JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)にとって、米国史上2番目の規模となる銀行破綻は、長らくライバル勢の後塵(こうじん)を拝してきたウェルスマネジメント(富裕層向け資産運用)事業で巻き返しを図る絶好の機会となった。 JPモルガンはすでに、投資銀行業やリテールバンキング、富裕層向けのプライベートバンキングで圧倒的な強さを誇るが、米国で富裕層が急増するなか、ますます
FRB、0.25%追加利上げを決定 引き締め停止を示唆
米連邦準備理事会(FRB)は3日、政策金利を0.25%引き上げることを決めた。1年強で10回連続の利上げとなるが、積極的な金融引き締めは近く停止する可能性も示唆した。 米連邦公開市場委員会(FOMC)での今回の決定は全会一致だった。誘導目標であるFF(フェデラル・ファンド)金利の新たな水準は5〜5.25%となり、2007年半ば以降で最も高い水準となる。 3月の声明から政策運営の表現を変更 2日間
AIが金融界にもたらす3つのリスク ジリアン・テット
この何十年、金融界では「フェドスピーク(Fedspeak)」と呼ばれる現象が続いてきた。つまり、米連邦準備理事会(FRB)のメンバーが発言するたびに、エコノミスト(そしてジャーナリスト)らがそのコメントを急いで解析し、トレーダーらはそれらを受け市場での賭けに出てきた。 パウエル議長のコメントの分析もAIの方が優れている? しかし、米リッチモンド地区連銀のエコノミストらが正しければ、この慣習は早晩
米当局、FRC破綻でSVBと対応に差 リスク判断が背景
4月30日夜の米地銀ファースト・リパブリック・バンク(FRC)の経営破綻は、3月10日のシリコンバレーバンク(SVB)の破綻が伏線となったが、今回の破綻処理で規制当局はかなり異なる姿勢を取った。 3月にSVBが破綻した際、処理にあたる公的機関の米連邦預金保険公社(FDIC)は引受先についてめどが立つ前の時点で、営業日の日中にSVBを事業停止とした。その結果、SVB売却を取りまとめるまでの2週間余
高齢者の投資、認知能力低下も判断材料に(Lex)
年齢は賢明な投資判断の障害にはならない。世界で最も有名な投資家、ウォーレン・バフェット氏は92歳だ。それでも個人投資家は、米国の大統領候補にもあてはまる冷徹な質問を自らにする必要がある。「こんなことをするには年寄り過ぎる時がいつか来るのだろうか?」 死亡率の予測は年金に関する意思決定では重要な要素だが、お金をためている英国民は必要な資金を過小評価するのが常だ。能力の衰えは潜在的レベルでもほとんど
JPモルガン、ファースト・リパブリック買収 当局仲介
米銀大手JPモルガンチェースは、米地銀ファースト・リパブリック・バンク(FRC)の大部分を買収する。米規制当局が追い詰められたカリフォルニア州を地盤とするRBCを閉鎖する徹夜の決着を調整していた。株主は全損になる。米国の歴史で2番目に大きな銀行破綻となった。 米連邦預金保険公社(FDIC)とカリフォルニア州当局は1日早朝、銀行の閉鎖と同時に935億ドル(約12兆8000億円)の全ての預金と大半の
バフェット氏の腹心、米銀の不動産ローン不良債権に警告
米投資会社バークシャー・ハザウェイのチャーリー・マンガー副会長が米国の商業用不動産市場に迫りくる嵐に警鐘を鳴らした。不動産価格が下落するなか、米銀が「不良債権」を大量に抱えているためだ。 99歳の投資家で大富豪のウォーレン・バフェット氏の腹心であるマンガー氏の発言の背景には、一部の銀行の経営破綻を受けて商業用不動産が暴落する懸念が強まり、米国の金融システムに混乱が広がっていることがある。 マンガ
米国、経済成長率が急減速 FRBの利上げに「効果」
米国経済の成長が2023年第1四半期に急激に鈍化した。個人消費は力強かったが、米連邦準備理事会(FRB)が歴史的な金融引き締め策を推し進めたからだ。 事前予想を下回る1.1% 米商務省が27日発表した国内総生産(GDP)速報値によると、世界最大の規模を誇る米国経済の成長率は1〜3月期に年率換算で1.1%だった。 この数値は22年10〜12月期に記録した2.6%の成長ペースからの急減速となり、2%
「強い金」が物語る米ドル基軸の揺らぎ
大多数の専門家は、いくらドル安になっても、米ドルの基軸通貨としての地位が揺らぐことはないとみている。「他に選択肢がない」という見方がその根拠だ。そうかもしれない。しかし、躍起になってドルの代わりを探している国にそうは言わない方が良い。そんな慢心は、他の選択肢の模索を勢いづけることになる。 その典型例が、ここ6カ月間で20%値上がりした金(ゴールド)だ。従来なら、インフレ、低金利のなかで、個人から
「金融危機はなくせない」ポールソン元財務長官
前菜の「サラダは1つ」という方針の時間はとっくに終わっていた。別々のメインディッシュが運ばれてくる。ハンク・ポールソン元米財務長官は自家製ラビオリ・マリナーラソースを注文した。私は常識に反して、4種チーズを使ったオーブン焼きパスタにした。ウエーターに「パルメザンチーズをかけますか」と聞かれ「今のところチーズは十分だと思うよ」と答えた。 銀行部門のパニックは終わっていない 話題を変えるタイミングで