米就業者数25.3万人増 4月雇用統計、市場予想上回る伸び - 日本経済新聞
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米就業者数、4月25.3万人増 市場予想上回る伸び

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【ワシントン=高見浩輔】米労働省が5日発表した4月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月から25万3000人増えた。市場予想の18万人を上回った。米連邦準備理事会(FRB)は高インフレの抑制には雇用の減速が必要とみており、利上げの停止を慎重に見極める見通しだ。

3月の伸びは23万人超から16万5000人に大幅に下方修正された。新型コロナウイルス禍前の2015〜19年の月平均である19万人程度を下回る水準だ。就業者数の伸びは3カ月平均でみれば鈍化傾向を維持している。

一方で失業率は3月の3.5%から4月は3.4%に下がった。半世紀ぶりの低水準だった1月と並ぶ水準だ。市場予想は3.6%だった。平均時給は前月から0.5%、前年同月から4.4%上昇した。いずれも伸びは前月から加速し、市場予想を上回った。

「失業率の大幅な上昇を避けながら、市場を落ち着かせることは可能だ」。FRBのパウエル議長は3日の記者会見で持論を繰り返した。コロナ後の米国は企業の求人件数が突出して増えた。利上げによってこの勢いを弱めても、失業率の急上昇を伴う景気後退には直結しないという分析だ。

実際に22年3月に1200万件に達した非農業部門の求人件数は23年3月に959万件となり、2カ月連続で1000万件の大台を割り込んだが、この間、失業率は低位で安定してきた。失業者はまだ次の就職先を簡単に見つけられるためだ。

もっとも足元では米銀の相次ぐ破綻を受けて銀行が融資に慎重になり、企業経営の先行きを暗くしている。米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した4月の米製造業景況感指数は好不況の節目である50を6カ月連続で下回り、今後はさらに下押し圧力がかかる可能性もある。金融不安がどこまで広がるかは予想がつかない。

FRBが6月13〜14日に開く次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを止めても、政策金利はすでに強い引き締めの状態にある。利下げに転じるには物価に加え、賃上げの勢いが十分に鈍ることが課題となる。

アトランタ連銀が算出する賃金トラッカーは3月も前年比で6.4%上昇し、前月から0.3ポイント伸びを拡大した。金融引き締めが長期化すれば、米経済や金融機関の経営には重荷となる。

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