浜松ホトニクスのレーザー企業買収、デンマークが却下
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浜松ホトニクスは8日、デンマークのレーザー装置メーカー、NKTフォトニクスの株式取得が同国政府に却下されたと発表した。浜ホトによると「安全保障上の脅威」が理由に挙げられているという。同社は2022年6月に欧州子会社を通じてNKTを買収し孫会社化すると発表、同年11月に公表した中期経営計画でもNKT関連の収益を織り込んでいた。背景や詳しい理由も含めた情報の収集を急ぎ、今後の対応を検討する。
浜ホトは傘下の欧州域内の統括・持ち株会社を通じて、NKTの全株式を約2億500万ユーロ(約304億円)で3月末に取得する予定だった。発表によるとドイツや英国、米国の各関係当局からは承認を得たが、デンマークでは産業・ビジネス・金融相が財務相、外相、法相、国防相と協議し申請却下を決定。同国商務庁から2日に浜ホトが受領した通知には、安全保障上の脅威から承認しなかったと記されていたという。
浜ホトが11日に発表予定の22年10月〜23年3月期連結決算への影響はないが、中計に織り込んだ収益額については買収完了前のため非開示としている。NKTは製造が難しいレーザー光を増幅する「フォトニック結晶ファイバー」や、半導体関連や医療など向けに需要が増す高出力で安定的なレーザーの技術を持つ。浜ホトによれば技術はいずれも民生用途で、軍事転用の可能性を否定している。
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